中小企業にいま必要なもの
最近「リブランディングしたい」というお問い合わせをよくいただきます。詳細を伺うと、なかには「ロゴやサイトをリニューアルしたい」というクリエイティブな相談があります。もちろんそれも重要なのですが、実はその前にしないといけないことに気付いていない企業も多いため、今回は中小企業にこそ必要なクリエイティブに着手する前に「すべきこと」と「知っておいて欲しいこと」についてお話します。
ブランディングに必要な思考
日本においても大企業を中心に「パーパス(Purpose)」に重点を置いたブランディングが行われつつあります。
(詳しくは以前の記事「ブランド価値を高めるルートとは」を御覧ください)
そして、時代は競い合う「競争社会」から共に「共創する社会」に移行しています。
(前回の記事「岸田新内閣も意識する「共創」時代」)
これは、消費者が企業やブランドに求めることに変化が生じていて、消費行動にも「パーパス」という、企業や組織が何のために存在するのかといった「存在意義」に共感しないと、モノやサービスを利用しないという傾向が顕著になっているからです。
そのような状況で中小企業が存続していくためには、目先の利益だけを追求しているだけでは厳しい時代になっていくと予想されます。
これは目先のことをやってはいけないという意味ではなく、目先のことも押さえつつ、長期的視点で自分たちの会社の存在意義を消費者にコミュニケーションしていく機会を増やしていかないといけない時代になったということです。
今こそ中小企業には、自分たちが社会で”存在する理由”を世間に認知してもらい、共感を得て長期に渡って支持を得るというアプローチが必要です。
コロナ禍でパーパスを発信し続けている中小企業の事例
「コロナに負けない!今だからこそできるオンライン体験型イベント(飲食店PR事例)」でもご紹介した岩手発の飲食ベンチャー企業である株式会社門崎は「日本の食の未来を消費者と生産者と共にクリエイトする」ことをパーパスに掲げている会社であり、規模的には中小企業に該当します。
この会社では、「自分たちだけの利益だけでなく、生産者たちの生産物の価値を上げる事業活動を行い、消費者に喜んでもらう(投資してもらう)。そしてその原資をもとにまた生産物の仕入れをする」という好循環なサイクルを実現するために様々な施策を講じています。
その一つ、今年の夏にプレスリリースで発表した施策をご紹介しましょう。
株式会社門崎では、「一関と東京を食で繋ぐ 岩手を世界に届ける」をビジョンに、地元岩手の生産者と共存することを目的に、通常は岩手の食材を扱っている牛肉の加工販売を主な事業としています。
しかしながら、COVID-19の発生によってこれまでの生活が一変した非常事態においてはそれだけに留まりませんでした。門崎社ではコロナ禍で卸先が激減し、希少価値が高いにもかかわらず生鮮食品である食肉が余剰在庫となって経営維持が厳しい状況にある北海道や沖縄の生産者から在庫過多になった肉を買い上げ、それぞれ商品化しオンラインで販売したのです。
この施策の根底にあるのは、パーパスを指針とし、「苦しい時はみんなで乗り切る」という門崎社の共創につながるポリシーを貫いているのです。
つまり、企業が常日頃発信していることと目指すべき方向の”辻褄”が合っていることで、より消費者が支持してくれることにつながります。
こういった施策によって消費者にも価値を提供でき、価値あるものを生産している生産者も継続的な生産が可能になるのです。
実際、この施策は社会に発信すべき内容と評価され、日本経済新聞でも記事化されました。
このように、パーパス経営をしている会社は長期的に消費者との良好な関係構築を可能にし、長い目で支持してもらえる会社になっています。
だからこそ、中小企業の経営をされている皆様にもパーパス・ブランディングを実行していただきたいのです。
リブランディングでまずすべきこと
冒頭でお話したように、リブランディングを希望される企業の多くはどう表現すべきかという、クリエイティブ(HOW)が主目的でいらっしゃることが多いです。
もちろんそれも大事なことですが、そのHOWの前に、「なぜそれをやるのか?」という”戦略”を決めることが最優先です。
その上で自社サイトのコンテンツを作っていくわけですが、それもただ単に見栄えを良くするだけでは、消費者との関係はさほど変わりません。
しっかりと戦略作りから行ない、パーパスを基点にしたコミュニケーション戦略を強固に練り上げ、そこからリソースにあったHOWを決めていくのが正しいステップなのです。
中小企業にこそ知ってほしいこと
とはいえ、お金の悩みが尽きないのも中小企業ならではないでしょうか。
目先の投資や運転資金、リソースの確保など、経営のために必要なお金のことは、常に経営者の課題ですし、コロナ禍でさらに頭を抱えている方は多いのではないでしょうか。
そこでお勧めしたいのが「助成金」の活用です。
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例として、給付金や補助金などとともに耳にした、もしくは既に利用した方は多いかもしれません。
補助金と助成金の違いを簡単にご説明すると、補助金が行政の政策目標達成のために予算を組んで交付するもので、必ずしも事業の全額が補助されるわけではなく、補助の可否や補助額には審査があり、募集期間などの制限もあります。そのため申請しても必ず受けられるわけではありません。
一方助成金は補助金と同様に国や地方自治体が支給するものではありますが、その内容は主に雇用や研究開発となっており、受けとるための要件を満たしていれば原則受給が可能です。
要件の一例を挙げてみます:
従業員を1名以上雇用している(代表と同居の親族、取締役を除く)
全従業員が保険の加入義務に違反していない(雇用保険、労災保険、社会保険など)
会社都合解雇を半年以内にしていない(受給まで解雇しない)
残業代未払いなど労務違反をしていない(または、改善する方向で進めることができる)
いかがでしょうか? 後ろめたいことがなければ通る要件ばかりです。
そしてこの助成金には何千もの種類があるため、決して一つの申請で要件に当てはまらなかったとしても、諦めて欲しくはないのです。
助成金に様々な種類があることを知らない企業は意外と多く、また知っていても「大変そう」「よく分からない」という理由で申請しない企業も多いのが実情のようです。助成金利用のための慣れない資料作りは確かに大変です。しかしここは助成金に強い社労士などによる設計・申請代行を活用することで、その負荷はだいぶ軽減できるでしょう。
この度、企業のパーパス・ビジョン・ゴール・チャレンジを中長期的にサポートしているAStoryでは、その助成金を設計している会社とパートナーシップを結びました。コロナ禍で投資をし続けることが難しいという企業様に、利用可能な助成金や対象条件についてのご相談やサポートを承っています。(詳細はこちらまで → 助成金無料査定 )
経営維持や現状打破のための資金にお悩みであれば、お気軽にコチラへお問い合わせください。