広報パーソンに役立つ生成AI活用術
昨年は生成AI元年といわれ、既にChatGPTなどのAIツールを仕事に活用している方も多いのではないでしょうか?
私(代表)も、最近はPRで使えるAIツールを試行錯誤中で、まだ使いこなせているというレベルではありませんが、広報業務でも活用の可能性があるなと思えるものを今回はご紹介したいと思います。
1. ChatGPTの広報活用【基本編】
2023年以降、ITエンジニアといった理系だけでなく文系の人々含め、多くの人がChatGPTを使い始めています。そこにはChatGPTの特徴でもある、自然言語処理に長けた能力があるからでしょう。
様々なシーンに合った衣装をコーディネートするスタイリストのように、伝えたい相手に伝わりやすく言葉でコミュニケーションする職業でもある広報は言葉のスタイリストともいえます。その広報業務の一つであるプレスリリースの作成でもChatGPTは活躍します。
「トーン」を変えたいとき
例えば、ChatGPTに「ユーモアのある感じに変えて欲しい」とか、「オフィシャルなトーンで整えて欲しい」といった指示(プロンプト)をすると、コミュニケーションの対象に合わせて文章を書き換えてくれる点はとても便利です。
また、「中学生にも分かる」や「高校生が分かる」といった、「難しい漢字を減らして」とか、「長さを調節して」、「訴求ポイントを強調して」など、レベル別にトーンを変えてもらうことも可能になっています。
※AStoryではプレスリリースの文章は「高校生でも分かるレベル感」を推奨しています。マスコミが高校生水準の読解レベルを意識しているため、そのようにトーンを調整することでメディア側に採用してもらいやすくなります。
広報業務においても、指示のコツさえ掴めば大いに仕事に役立つことでしょう。
2. さらに一歩進んだChatGPTの活用法【応用編】
【広報の業務効率が上がるプラグイン】
ChatGPTはいわゆる無料版の3.5verより、有料版の4.0ver(ChatGPT Plus、最新モデルは「ChatGPT-4Turbo」)がお勧めです。有料版には様々なプラグインとの連携で、テキストベースのチャットボットからさらなる機能拡張が可能になるからです。
※プラグイン:ChatGPTができないことを外注するイメージ(スマホがChatGPTだとすると、プラグインはアプリのような存在)。
例えば、ChatGPTのチャット画面に入力した文章を「パワポにして」と指示しても、そのままでは不可能です。いきなり「パワーポイント」にはできませんが、ChatGPTに連携されているプラグインを使えば可能になります。
パワポなどのスライド資料を生成するには、先ず、ChatGPTでアイデア出しや構成、中身の文章をChatGPTで出してもらい、次にChatGPTと連携している「「Slide Maker(スライドメーカー)」や「Smart Slides(スマートスライズ)」などのパワポ生成プラグインを選択すれば、自動的にパワポが生成されます。
ただ、デザイン面ではまだ希望通りとはいかないようで、使う人(プロか素人か)や、使い方によって仕上がりには差が出てしまう段階ですが、一応スライド資料の体を成しており、かなり業務効率が上がるはずです。
ほかにも、数字を入力すればグラフ化してもらえたりと、エクセルマスターでなくてもプラグインを使えばできることが増えており、またプラグインの数は現在1000を超えているそうで、今後も増え続けていく模様です。人不足が深刻な昨今ですが、ChatGPTとプラグインを使うことで業務効率を上げ、広報で活用できる幅も今後どんどん広がるのではないでしょうか。
3. 私的使用で活躍しているイラスト生成AI
私自身のFacebookのアイコンが昔のままなので、個人的に「Midjourney(ミッドジャーニー)」を使ってアバターを作ってみました。AI画像生成サイト「Midjourney」は、テキストで指示するだけで画像を生成できるAIツールです。私のプロンプト指定のレベルが低いのかアバター作成はうまくいきませんでした。ただこのプラグインはアバターというより、「イメージ」を作りたい人に向いているかもしれません。
そこで次にトライしたサイトが「Leonardo AI(レオナルドエーアイ)」です。「Leonardo AI」も人気の画像生成プラットフォームで、アニメ仕様や写真をポートレート化したものなど様々な選択肢がありました。しかしながら、いずれも作ってみると正直自身にあまり似ていなかったのです。これはプロンプトの質の向上かテクノロジーの進化が必要な気がします。
とはいえ、ITリテラシーが高い人ではなくても手軽にイラスト画像が生成できるようになったというのは画期的でしょう。
現時点では著作権の法整備面でクリアになっていないので、個人的に使用する範囲に限られてくるとは思いますが、皆さんも使ってみてください。
【番外編:静止画+音声を組み合わせたAIツール】
動画作成に便利なサイトもありますのでこちらもご紹介します。
「D-ID(ディーアイディー)」は簡単に言うと、静止画と音声で動画が作れるツールです。ChatGPTのプラグインではなく、単一のサービスツールです。プラグイン連携はデザインツールとして人気のCanvaやPowerPointにも組み込まれているようです。
先ずはどのようなアバターができたかご覧ください。
いかがでしょうか?
「D-ID」に私の写真を貼り付けて、ここに別途、AI音声生成ツール「PlayHT(プレイエイチティー)」にセリフのテキストを入れて作った声を挿入し、写真に動きをつけました。Facebookに載せたら予想以上に反響がありました。
声は私本人ではありませんが、「女性」「男性」などの種類が選べるようになっていて、広報ツールにアバターを活用することも可能だなと思った次第です。
PRの仕事も効率化だけでなく、新たな可能性が広がりそうです。
4. タスク自動化ツール「Zapier」でサマリーチェックを高速化
皆さん「Zapier(ザピア)」はご存知でしょうか?「Zapier」は様々なアプリやツールを繋げて、ワークフローを自動化してくれる便利なタスク自動化ツールです。
私の場合、日々チェックしている海外の広報関連サイトの記事を、この「Zapier」をChatGPTと連携させて要約してもらい、さらにそれを和訳、そしてメールに送ってもらうという指示を設定しました。
これにより、日々各種サイトをブラウジングして、英文記事を読むという時間が劇的に短縮され、毎日和訳された要約記事をパパッとチェックするだけになり、かなり時間効率が上がったのです。
広報パーソンの皆さんも、日々自社関連の記事やトレンド、PRのノウハウといったウェブメディアをチェックすると思いますが、自身の学びや情報収集する際にこのサイトは有用ではないでしょうか。
私の会社員時代は、自社の露出記事をクリッピングして、内容を要約して、社内共有する、という業務も広報の重要なタスクでしたが、結構な作業量になっていました。これが自動的に受信できるのは生産性という観点でも有益でしょう。
5. まとめ
広報/PRはまだまだ人海戦術的な分野なため、AIツールの広報活用という意味ではまだ課題も大いにあると思います。また、生成したものの著作権やソーシャルメディアへの可用性などの境界線が不明な部分もあるため、私的利用ではない場合の活用においては注意が必要でしょう。これについては前回の記事(「PR&ブランディングの2024年注目トレンド」内の「AIとSNS」)でもご紹介したように、ファクトチェック(事実情報の裏付け)も重要になります。
これらを考慮した上で、日進月歩のAIツールに関する情報をアップデートし、臆せずチャレンジして、自分の仕事に取り入れられる部分は積極的に活用していきましょう。
私も広報の現場で使えるAIツールを見つけたら、またこちらでご紹介したいと思います。
※当記事でご紹介した各種ツールはその内容について保証するものではありません。各種ツールのご利用は自己責任でお願い申し上げます。
AStoryではアマゾンジャパンの黎明期からトヨタやGoogleを抜いてトップブランドとなった実績(「総合ランキングは、「Amazon.co.jp」が初の総合首位を獲得」)をもとに、ベンチャー、スタートアップ企業の新規上場におけるPR戦略立案やPR担当者育成のサポート、パーパスブランディングの構築支援をしています。
ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。